★株式会社キクシマ
菊嶋 秀生 社長
業種:建築業 (神奈川県 横浜市)
◆御社にとって、社員旅行を実施されている 『目的』、そして『期待されている効果』はどのようなものかをお聞かせください。
菊嶋社長:
社員旅行を毎年連続して実施し始めたのは、ここ5年くらいです。それまでは社員へ の負担感がありましたが、実際に旅行に行って帰ってきた後は、社員からも楽しかっ たとか充実感があったという感想が多くあったので、それからなるべく毎年実施するようにしています。
世間一般的には社員旅行に対して、面倒くさいといった嫌悪感を持たれるイメージが あるようですが、私自身にあまのじゃくな面があり、和を大切にする日本人らしい精 神を育てる意味でも社員旅行を実施した方が良いと考えていました。
そして、3年前 に社内でも一定の基準を設けることにしたのです。 業績の目標達成レベルに合わせて、 例えばハワイ5日間、グアム4日間、国内2日間、達成していなければ熱海で反省会・・・ といったように、社内でも1年間を通した目標の基準となりました。 私自身、生まれてからの50 年間、実は一度もハワイに行ったことがなかったのです が、8 年くらい前から、どうせ行くのなら人生初のハワイは社員と一緒に行きたい という思いが芽生えてきていました。
『俺をハワイに連れて行ってくれ!』と奮起させるように社員へも声をかけていった 結果、2015 年に念願のハワイ社員旅行を実現させることが出来ました。
2016 年は、協力会社となった協立工業(長野県)との一体感を創る為に、社員旅行の行き先を国内 4 日間とハワイ 5 日間のどちらかを選べるようにしました。
社員旅行を実施する目的はやはりモチベーションアップです。 人生の大部分を仕事が占める中、給料を稼ぐだけではない楽しさを感じ、社員間で何でも話せる雰囲気 をつくり家族的な関係を構築できるようにすることが目的です。 だからこそ強制的に 全員参加ではなく、全体の80%が参加すれば良いとも考えています。費用は会社が 全面負担している為、80%の参加率は高くないとは思っていますが。
荒井 :
それでも80%の参加率は非常に高い方でして、たとえ会社が全額負担していたとし ても 50%くらいの参加率の企業様は多いものです。
菊嶋社長:
私からは参加するよう全員に声はかけています。それは幹事の苦労を他の社員にも分 かってほしいからなのです。幹事は総務が担当し、縁の下の力持ち的に準備期間も旅行中も大変な役割となるわけですが、それ以外の社員にはせめて参加して楽しんで やってくれと伝えています。そうすれば、最終的に幹事の苦労が報われ、やりがいや 達成感を感じてもらえるからです。 弊社では毎月必ず誕生日祝いを行ったり、他にもフットサル、スキー、12 月は社員 の家族も招待する家族会も毎年開催しています。昨年の創業50周年記念に関して もイベントや社史の制作準備などもほぼ自社で進めてきたので社員の、特に総務に は負担をかけていると思います。だからこそ、全社員がなるべく参加するような雰囲 気にしていっています。
荒井 :
皆さんそれに応えようとされている、総務を中心とした頑張りが成果として出たようですね。
菊嶋社長:
でも実際には社内での温度差もあります。 総務は普段から私との距離も近い為、私の考えも浸透し易い環境にはありますが、建築業なので現場に出ている社員にはそ うした考えが行動まで行き届いていないこともあります。 だからこそ、なるべく営業 部が企画する社外の方々との交流会にも参加してもらうようにしています。
私自身は、今後どのようにして建設業を脱皮していくかを課題としています。建築業界の常識に否定はしないが、これからはその考えだけでは駄目で、サービス業的な考 え方を持たないとならないという危機感を持っています。 社員旅行もそうした観点から、旅行先でただ楽しむだけではなく、サービスを受ける 立場になってみて、そこから何かヒントをつかめればという思いもあるのです。
荒井 :
今後、ベンチマーク、参考にしたいと思われる企業はありますか?
菊嶋社長:
先日、埼玉県にある産業廃棄物処理会社の見学をしましたが、興味深く思いました。 代表の方へはお会いしていませんが、社員が社長の思いを同じように伝えることが出来ていることに感心 しました。
同業他社をベンチマークするというよりも、例えば 横浜市内の菓子メーカー。 レジャー施設を横浜に創るのが夢という社長の目標を聞いていると会社として学ぶ ものがあるように思っています。
弊社も本業は建設業でありながら、豊かさとか楽 しさといった生活全般を支えるような企業を目指したいと思っています。 そうした意 味で今後は女性社員さんの比率が多くなってくるかもしれません。私自身、31、32歳の頃、早くに社長に就任してしまった為、最初の10年くらいは 本当によく勉強していまして、講演会などにも積極的によく聴きにいっていました。最 近は自分のスタイルというか考えが出来上がってきたのか、他社に学ぶ興味が薄くな っているのかもしれません。よく周囲の方に、御社はどのような先生に経営を学ばれて いるのですか? と聞かれますが、特にそういった方はいないのです。 他社を真似るとい うよりも、今は自分達が創り上げてきたカラーを大切にしようとしています。
『ストリートファニチャーコンペティション』も言い出した手前というのもありますが、 100 社の参加を目標にしています。
昔は『買う・売る』の関係だけでしたが、今は『創 る』関係性だと思うのです。風景を創る、豊さを創る。 そしてそれを買っていただく。 役割は異なりますが、方向性は今までと同じだと考えています。 そうした基盤を今後は しっかりとつくっていきたく、それこそ金融機関の方にも協力してもらうようにし広 めています。
横浜は環境に恵まれているせいか、受け身というか仕事が降ってくると思っているよ うに感じます。弊社は公共施設の建設事業が全体の1割程度で、あとは民間工事となります。 昔は鉄骨事業から始めましたが、今後は職人、ものづくりのプロフェッショ ナル、スペシャリストだけでは生き残っていけません。私の中ではそうした業界に対する考えと社員旅行を実施する目的は繋がっているの です。
横浜馬車道にある老舗飲食業の社長は古いものを大切にする精神が大変勉強になります。馬車道と呼ばれるだけあって、馬が水を飲める給水栓が昔はあったのですが、その給水栓を一つ、そちらより譲り受けて横浜の関内にあるキクシマビルのウルルギャラリーにも置こうと 考えています。新しいものと古き良いものを融合させることが現在行っているスト リートファニチャーコンペティションの楽しい街づくりと繋がっているのです。
◆今回の社員旅行は特に、協力会社となられた協立工業様との初の合同社員旅行でしたが、旅行前と旅行後において、何か変化や効果はございましたでしょうか。
菊嶋社長:
そうですね。やっぱりお互いの距離感がぐっと縮まった気がします。 社員旅行のように数日間、顔を合わせ一緒に何度も食事をすると、半年くらいはその 楽しかった思い出話でもちます。 そしてまたその後の半年くらいは次回の社員旅行 の話題で更につながっていくように感じます。
(旅コレクションに)創っていただいた思い出DVDも大変素晴らしかったです。 自社の社風を世間に伝える意味でHPに掲載しようかと考えています。 世間で言われるブラック企業と呼ばれる企業は社員旅行を実施していないのかもし れませんね。 社員旅行もコストがかかりますが、そこと給料のバランスについて考えています、 そのまま賞与にしてほしいという声もあるかもしれませんが、私はそこにかけるのと は同じ費用でも意味合いが違ってくると考えています。
荒井 :
社員さんに対して表彰の機会などはありますか?
菊嶋社長:
社員に対しての表彰は勤続表彰のみで、業績は賞与に還元しています。 (表彰演出の効果を聞いて) 今後は家族会などでそうした表彰機会を設けて、より多 くの社員に光を当てるのも良いですね。
◆最後に、今回、旅コレクションをご利用いただきましたご感想を是非お聞かせください。
菊嶋社長:
大満足です。 期待と実際に受けるサービスの結果に満足の差が出ますが、私達は 要求水準が高いという自負があります。それに一つ一つ誠実に応えていただけた ことに対して大満足しています。
荒井 :
有難うございます。 私達もより以上を目指していく励みになりました。